Case Studies

多様なQA支援実績をご紹介

仕組みが複雑でも、ミスの許されない領域。物流業界を支えるプロダクトの品質を担保

今回の事例のポイント

  • 新機能をリリースしたものの、社内のリソース不足によってテスト検証を実行しきれなかった
  • 8technologyが加わったことにより、品質担保の問題をクリアにできた
  • 外部委託でもチームとしてうまく機能している背景には、8technologyの高い品質と対応のスピードがある

株式会社オプティマインド

昨今、物流業界において、ドライバー不足や物量の増加といった課題が顕在化する中、いかに配送業務を効率化するかは、大きなテーマとなっています。

こうした課題に対応すべく、株式会社オプティマインドでは、物流DXを実現するソリューション「Loogia(ルージア)」を提供しています。一方、プロダクトを通じて最適な支援を行うには企業ごとの個別開発が不可欠であり、品質保証の体制整備が大きな課題となっていました。

その品質保証を支えているのが、8technologyによるQA業務です。

「通常のQA業務よりも難易度が高い」と言いますが、どういった理由があるのでしょうか。プロダクト開発部でチームの管轄を行う、百々太市さんに伺いました。

リソース不足により、新機能のテスト検証を実行しきれなかった

ーー最初に、御社の事業内容について教えてください。

当社では「Loogia」という自動配車クラウドを提供しています。物流現場において、配車担当者が「どの車両を、どういったルートで配送するか」という配送計画を効率的に作成できるプロダクトです。

配送計画とは、ドライバーが配送センターなどから荷物を配送する際に、より効率的なルートを策定するものです。その際、ドライバー数や車両数、配送先件数など、複雑な条件を加味して策定しなければなりません。「Loogia」では、こうした条件を組み合わせて最適な配送計画を作成できる仕様になっています。

ーーその中で現在、ご依頼いただいているQAの業務内容は?

主に新機能「Loogiaコネクト」に関連する対応をお願いしています。

「Loogiaコネクト」は、社内に散在する注文・マスタ・現場メモ等の情報を一度に集約し、配車に必要なデータを作るプラットフォームです。Loogia用のフォーマット変換だけではなく、路線/自社便の振り分けや作業時間の補完、優先度付けなど各社の業務ルール・暗黙知をロジック化し、管理画面で確認・微修正したうえで、WMS/ERPやドライバー指示書など必要な形で出力します。
これにより、複雑な条件を踏まえた計画作成と既存システムとの接続を無理なく進められます。

これは「Loogia」を導入する際にデータ形式が合わず、連携が難しい場合に使う機能であり、配送関連のデータをシステム連携可能な形式に変換します。各社の配送要件は非常に多様で、システム化が難しいケースもある中、それを変換・整理し、最適な形で連携するのが「Loogiaコネクト」です。

開発の裏側では、「どういうロジックで配送計画を立てるべきか」といった情報をデータから読み解いて構築していきます。
開発の裏側では、顧客ごとの複雑な配送ルール(ビジネスロジック)をデータから読み解き、連携仕様を設計・構築していきます。その工程の中で、8technologyの皆さんに要件整理、データ成形、テスト検証などを幅広く担ってもらっています。

また現在は、他のプロダクトにも参画いただいており、エラー発生時の一次調査などにも対応いただいています。

ーー依頼いただいた背景には、どのような課題があったのでしょうか。

2023年に「Loogiaコネクト」をリリースしましたが、個社ごとにビジネスロジックを実装する必要がある性質上、テスト検証すべきポイントが個社ごとに多く発生します。そのためテスト検証すべきポイントが多く、社内だけでは対応が困難でした。

不具合が発生したり、テストケースが網羅できなかったりするなど、品質担保において課題が発生してしまい、早急に外部委託を検討する必要があったのです。

知識や理解度が求められるプロダクトでも、主体的に取り組んでもらったことでスムーズに運用

ーーリソース不足にあたって、新しく社員を採用するほか、業務委託に依頼するなど、様々な選択肢もある中で、弊社に依頼された理由は?

業務量が流動的であるため、労働時間が固定される社員よりも、柔軟に対応可能な外部委託の方が適していると判断しました。

ただ、QA業務は依頼内容が途中で変化したり、複雑化することが多い領域でもあります。とくに「Loogiaコネクト」は新しいプロダクトということもあり、開発中に想定外の課題が見つかるケースも珍しくなく、外部委託しにくい側面があります。

加えて、QAスキルだけでなく、物流の構造や業界知識、プロダクトへの深い理解も必要です。まだ整理された仕様書がない状態なので、渡した資料を読み込み、主体的にキャッチアップしてもらわなければなりません。

そんな中で御社の担当者の方は、必要な知識を積極的に吸収し、高い品質とスピードで対応してくれています。

私は以前、品質保証サービスを行う別会社に依頼した経験もありますが、比較しても遜色なく、むしろそれ以上のパフォーマンスであると感じています。正直なところ、担当者の方が曖昧な領域も積極的にボールを拾っていただいているので、もはや代わりがきかない存在になっていますね。

ーーありがとうございます。業務を進める中で、特に満足いただいている点はありますか?

とにかく対応のスピードが速い点でしょうか。依頼前から自発的に動いてくれていることも多く、想定以上の働きをしていただいています。

また、具体的な業務で特に役立っているのは、テスト仕様書の作成です。初期段階にチェック項目をリストアップして検証を進めますが、最終的には手順や合格基準をドキュメントとして整理・蓄積してくださるので、社内のナレッジとしてもしっかり残せています。

高い品質が求められる業界で、外部委託でも品質保証を実現できているワケ

ーー「Loogiaコネクト」というプロダクトのテスト検証において、特に求められることがあれば教えてください。

このプロダクトは企業ごとの個別開発が前提となっており、あらかじめ決められたチェックリストの確認では対応しきれません。全ての導入企業でデータ形式や要件が異なるため、テスト項目も毎回新たに設計する必要があります。

とはいえ、物流業界は“ミスが許されない”領域です。配送計画に誤りがあると、たとえば同じ場所に2人のドライバーが向かってしまうなど、重大な問題につながる恐れがあります。

つまり、非常に難しいプロダクトであるにもかかわらず、完璧な品質が求められるのです。

ーーお聞きしていると、本来は外部委託しにくい業務のように思えます。

おっしゃる通り、基本的には外に出しづらい業務です。しかし、担当の方が熱心にキャッチアップしてくださり、一定の品質が担保できています。結果として、今では“社外”という感覚なく、ひとつのチームとしてうまく機能している状態です。社内だけでは、このクオリティは実現できなかったと実感しています。

ーー最後に、今後の展望について教えてください。

現在は、どうしても個人のスキルに依存している部分があるため、メンバーそれぞれの知見を棚卸し、体系化していく必要があると考えています。

8technologyの皆さんも含め、メンバーそれぞれが自身のスキルをもって取り組んでいます。どうしても見える化しにくい領域ですが、プロダクトの進化とともに多くの知識が蓄積されてきました。これをルール化・ドキュメント化することで、再現性の高い品質保証体制を構築できるはずです。

プロダクトとしてもまだ成長のフェーズにあるので、今後も引き続き、一緒に品質を高めていけたらと思っています。

終わりに

企業ごとに異なる複雑なデータを扱うプロダクトである、「Loogiaコネクト」。しかし、ミスの許されない物流業界において、品質保証の重要性は非常に高くなっています。

その中で8technologyは、「業界特有の知識やプロダクトの特性を主体的に理解し、臨機応変に対応することで、QA業務の枠を超えた支援を実現してくれている」と話す同社。

見えづらく、標準化しづらい領域だからこそ、信頼関係と継続的なキャッチアップが何よりも重要です。「Loogia」における“品質の土台”を固めるべく、今後もノウハウ整理を行いながら、ともに事業の成長へとつなげていければと思います。