多様なQA支援実績をご紹介
“外注”を超えた“チーム”として。Yappliの事業に伴走するQAパートナーシップ
今回の事例のポイント
- 8technologyに依頼することで、従来よりも半分のコストで運用できた
- 仕様書に起こしにくいようなポイントも、ユーザー視点でチェックが実行可能に
- QA業務を外部に切り出せたことで、社員にしかできない業務に時間を割けるようになった
株式会社ヤプリ
アプリ開発から運用・分析までノーコードで提供するアプリプラットフォーム「Yappli(ヤプリ)」。
ユーザーが簡単にアプリを作成できるプロダクトが魅力であるだけに、操作における品質担保は欠かせません。
株式会社ヤプリでは、定期的に行うQA業務において、8technology が品質保証のテストを担当しています。元々は業務委託のメンバーが対応していたと言いますが、どのような経緯で現在の体制へとなったのでしょうか。プロダクト開発本部の部長としてプロジェクトを統括する、林 宏行さんに伺いました。
コスト削減が必要な一方、社内の業務負担が増加する結果に

ーー8technologyに依頼いただくことになった背景から教えてください。
当時、会社全体として黒字化を目指しているタイミングでした。上場したという背景もあり、できるだけ利益を生み出す組織へと経営改善が進められていたのです。
その一環として、人件費のコストをできるだけ抑えるため、QAを行っていた業務委託メンバーとの契約を終了し、社員で内製することになりました。
しかし、いざ内製してみると、想像以上に作業工数がかかることが分かりました。これまで業務委託に依頼していた作業が追加され、通常業務が回らなくなってしまったのです。
さらにQAの業務とは、リリース前の最終工程にあたります。開発スケジュールが遅れた場合、帳尻を合わせようとすると、QAの進行がタイトになります。社内の限られたメンバーだけでは、柔軟な対応も難しくなってしまいます。
そうなると、最終的にリリース日を遅らせたり、現状の仕様を切り捨てたりするような判断も視野に入れなければなりません。スケジュール通りに進行させるには、リソース不足の解消が不可欠だったのです。
加えて「Yappli」のシステムは一般的なプロダクトと比べて複雑であり、よりノウハウやスキルもQA業務に求められます。そのため、他メンバーがスポット的に手伝うような動きも現実的ではありません。
ーー人件費を抑えたい一方、人手が足りずに業務が滞るというジレンマに直面していたんですね。
そうですね。そこで、再び「業務委託にお願いした方が良いのではないか」という話が持ち上がりましたが、そうするとまた人件費が発生します。新しく社員を採用する場合も同様、コストが発生する上、実際に入社して即戦力となるまで時間もかかります。スピード感を持って対応するには、選択肢としては外れました。
そんな中で、親会社のオープンエイトから8technologyのお話を聞き、業務委託を雇用するよりも、半分のコストで運用できることを知りました。オープンエイトとは元々接点もあり、自社でプロダクトを提供しているという強みも理解しました。
すぐに人手が必要だった中、依頼して迅速に対応可能な点も決め手となりました。
全てチェックするのは難しいプロダクトだけに、勘どころが求められる

ーー8technologyが行っている業務内容について、詳しく教えてください。
アプリの機能追加や改修によって、別のプログラムに不具合が発生していないか確認するリグレッションテストを主に担当いただいています。
アプリプラットフォームである「Yappli」は現在、約900の導入実績があります。つまり、一つの機能を追加すると、900ものアプリに機能が加わることになります。導入実績も増えている中で、一つひとつのリリースに対する影響範囲は大きいものです。だからこそ、リグレッションテストを実行し、事前にデグレを検出することが重要となります。
そのほか、機能開発のプロジェクトにジョインいただいたり、ノーコードCRMツールの「Yappli CRM」のQA業務、お客様の個社対応に関する領域など、様々な場面で対応いただいています。
ーー「『Yappli』は他のシステムよりも複雑」とも話されていましたが、通常とどのような点が異なるのでしょうか。
「Yappli」は自由度が高いプロダクトであり、基本機能の中から使いたい機能を選んでアプリを構築して使います。各企業がそれぞれアプリを作るため、使われる機能の組み合わせは無限にあります。
通常のQA業務であれば、仕様書に沿って動作確認を行いますが、「Yappli」のように無数の組み合わせがあると、全てを仕様書に起こして確認することは現実的ではありません。
そのため、「どこまでチェックすべきか」「この組み合わせはバグが起きやすいのでは」といった“勘どころ”が求められます。仕様書があれば対応しやすいですが、それがない状態では、かなりの経験とスキルが必要です。
ーー具体的に、どういった経験やスキルが求められるのでしょうか。
主体的な業務のキャッチアップはもちろん、事業に対する解像度が高くないと「Yappli」のQAはこなせません。プロダクトに対する知識とQAとしてのスキルをもって、ユーザー視点でチェックすることが肝心です。
その点、8technologyの皆さんは、必要な知識をしっかり吸収いただき、業務に取り組まれています。こちら側のフィードバックにも迅速に対応いただけており、非常に助かっています。
安心してQA業務を任せられることで、社員は他の業務に集中できる

ーー「Yappli」の品質保証において、どのような点が重要だと感じていますか?
弊社では大企業に導入されるケースも多く、アプリのユーザー数も多いため、不具合が発生すると影響範囲は非常に大きくなります。そのため、不具合を出さないことが大前提です。
ただ一方で、ビジネスとして改善のスピードも求められます。例えばバグ修正であれば、できるだけ早くリリースしたいですが、リリース前にしっかりチェックしようとすると、どこまでもテストすることが可能になってしまいます。どこまでやっても「完全に安心できる」という状態は存在しないのです。
迅速にリリースしたとしても、後工程で問題が起きた場合、結局余計に時間がかかってしまいます。だからこそ、限られた時間の中で、品質とスピードのバランスを取ることがQA担当にとっての重要なスキルだと考えています。
ーー品質を担保しつつも、一定のスピード感で実行することが求められているのですね。
「Yappli」の場合、決められた仕様に対し、実行すれば良いだけではありません。言い換えると、外部に切り出すのが難しい業務でもあります。その中で、8technologyの皆さんにうまく稼働いただけているのは、チームの内側に入って進められているからだと感じます。開発側ともうまくコミュニケーションを取られていて、同じ目線で取り組むことができています。
現在、弊社のQAにジョインいただいてから、2年ほどになります。業務の安定したアウトプットはもちろん、「この作業は自動化できるのでは」「こういったテストケースを作成するのはどうか」など、担当者から提案いただく場面も少なくありません。クオリティの向上や最適な検証に向けて、一緒になって動いてくださっている実感があります。
ーー弊社がQAを行うようになったことで感じたメリットがあれば教えてください。
社員が新しい業務にチャレンジしたり、自分のスキルを高めたりする時間を確保できるようになったのは大きいです。
例えば、会社の代表としてイベントに登壇するなど、社員でなければできない業務があります。QA業務を切り出して任せられることで、そうしたコアな業務にリソースを集中させられるようになり、大変助かっています。

ーー今後の目標について教えてください。
今後のQA業務を語る上で、AIの活用は避けて通れないテーマになると思います。
1〜2年前の段階で、AIの進化レベルを予測できていた人はほとんどいなかったのではないでしょうか。それほど、開発環境を取り巻くAIのスピードは速く、QA領域にも大きな影響を与えています。
これからは、AIを活用した自動化がますます鍵になっていきます。
とはいえ、現時点では“触り心地”や“ユーザー視点での快適さ”など、人の目で確認すべき部分も多く残っています。スムーズに自動化できる領域と、人が介在すべき領域とを見極めながら進めることが大切です。
今後も、8technologyの皆さんと協力しながら、自動化に向けた仕組みづくりを一緒に進めていけたらと思います。
◆終わりに
「Yappli」という多機能かつ自由度の高いプロダクトにおいて、品質を担保しながらスピード感を持って改善を進めていくためには、柔軟で実行力のあるQA体制が欠かせません。
8technologyとの連携は、単なる外注ではなく、開発チームの一員のように深く関わることで、信頼関係と成果の両立を実現してきました。
今後さらに進化が見込まれるAIの活用や自動化への移行も視野に入れつつ、品質と効率のバランスを追求するヤプリ。社内外の力をうまく組み合わせることで、組織全体としての成長と生産性の向上につなげています。
経営改善を進めて会社として大きく前進されている中、今後の取り組みにも注目が集まります。